ライヴ・イン・トーキョー
レビュー
「暗い力をもつ、この古いようで新しい楽器」と、小松亮太はバンドネオンという楽器を形容する。デジタルとは遠くかけ離れた非合理的な楽器構造と、うらぶれた場末の酒場が似合いそうな哀愁を帯びた響き。それは確かにピアソラ・ブームによってこの6、7年、一挙に日本でも脚光を浴びてきた。
そしてとうとう、バンドネオンの使徒・小松亮太が、長らく夢と抱いてきたバンドネオン4台を含む大編成オルケスタ・ティピカ――本場南米でも30年前にあきらめてしまった究極の様式――を、日本人の若いミュージシャンたちによって、再びこの世に実現した。 全体の響きは暗く、分厚く、ダイナミックで、スケール大きく、リズムはこれでもかと粘る。4台のバンドネオンは、音色が妖しくからまりあい、鋭敏で切れのあるリズムが見事だ。曲目構成は、アストル・ピアソラという強烈な個性を踏まえつつ、タンゴという大きな流れを意識した構成になっている。 ピアソラが持っていた鋭利なナイフのような冷たさ、とげとげしい攻撃性と皮肉めいた抒情のコントラストとはまた違い、音楽全体から発散される一途で若々しい熱さは、アンサンブル全体に浸透した他ならぬ小松の個性でもある。 カスタマーレビュー
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